■金より人々に愛された銀
オリンピックのメダルは、金・銀・銅の順。銀は2番目です。金は確かに銀よりも価格も高く、華やかです。しかし、実は歴史上、金より銀が愛されていた事実があるのをご存知ですか?
オリンピックのメダルが現在のように金銀銅に正式に決まったのは、1907年に国際オリンピック委員会総会で五輪憲章で定められてからで、第1回近代オリンピックでは優勝者に銀メダル、準優勝者に銅メダルが贈られたといいます。それに現在の金メダルも銀製のメダルに金のメッキを施したものだといいますから、銀という素材は、ずいぶんメダルに貢献しているといえそうですね。
銀はどうしても金の後塵を拝すように思われがちですが、銀ほど古代から愛された金属もなかったのです。最古の銀製品は、紀元前3000年前のメソポタミアなどのものですが、古代ローマ人が銀を熱狂的に愛し、古代ギリシャ 時代に作られた銀製品の多くを集めたといいます。それ以降も銀はヨーロッパの人達の生活に根付き、フランス宮廷に洗練された作法がもたらされたのも、銀のフォークやナイフが使用されてからだといいます。そして18世紀の中頃には、世界中のブルジョア階級が社会的地位のシンボルの証として銀を使うようになり、その加工技術やデザインが飛躍的に発展しました。
金も銀も貴重な金属であり、どちらも光り輝いて美しい。しかし銀の輝きはプラチナと同じで白に近く、その落ち着いた品格のある輝きが愛されたのではないでしょうか。しかも銀の出すイオンには、抗菌作用があり、人間の体にやさしいともいえるのです。近年、銀イオンを使った抗菌グッズが出回っていますが、昔から銀食器に入れられた食べ物や飲み物が腐りにくいことはよく知られていたのです。

■銀は毒を知らせる
銀の唯一の欠点、それはそのままにしておくとくすんだり黒ずんだりしてくることでしょう。これは、空気中の硫化水素と化合して表面に硫化膜を作ってしまうからです。
しかしこの「硫化」も昔の貴族は利用していていました。それはもし毒がもられていた場合、銀器が硫化によって反応してくれるからです。そうやって銀を使って自分の安全を守っていたのですね。
また、銀の魅力のひとつとして、この硫化による独特の色を楽しむということがあります。よく“いぶし銀”といいますが、光り輝く白い色よりも、少しくすんだ落ち着いた色を楽しむわけです。
銀の好きな人は、使い込むほどに自分の色になっていくことを楽しまれているようです。硫化を拭き取り拭き取りしながら使い、それでも少しずつ残っていく独特の色合い。そこに、ただ美しいだけではなく、自分が使い込んだ歴史と物語を感じ、より愛おしいものとして使い続ける…。そんな魅力が銀にはあるんですね。

魅力的な銀細工を一度ご覧ください。

